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東京高等裁判所 昭和43年(ラ)345号 決定 1968年7月22日

抗告人 伊豆志ま

主文

原命令を取り消す。

理由

標記事件について抗告人が原裁判所に提出した訴状には請求の趣旨掲記の不動産が特定されていなかつたので、同事件の担当裁判官が昭和四三年三月二六日原告たる抗告人に対し一四日以内に右欠缺を補正すべき旨を命じたところ、抗告人は、その指定期間内である同年四月四日、「補正命令履行届」なる書面に添付して、千葉県安房郡和田町大字小川字狭間一九七番地田七畝三歩ほか五筆のそれぞれ地番・地目・地積等が表示されている土地を列記した「固定資産評価額証明願」と題する書面に当該吏員の証明ある書面(いわゆる評価証明)を同裁判所に郵便で送付したこと記録上明らかであり、右添付にかかる書面は、その表題のいかんにかかわらず、前記請求の趣旨掲記の不動産を特定するに足る物件目録と認めることができるから、同裁判官が命令所定の欠缺が補正されなかつたものとして訴状を却下したことは、失当であり、原命令は、その取消しを免がれない。

されば、本件抗告は理由があるものと認め、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 浅沼武 裁判官 上野正秋 裁判官 渡部吉隆)

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